秘密の会議は土曜日に
11 不機嫌な長雨と会議室
「うー、二日酔いだ気持ちわりー。理緒は平気?」
「鴻上くん、昨日は最初から凄い酔ってたもんね……。
まあ、私も飲み過ぎちゃったんだけどさ。」
二日目の研修プログラムが始まる時間になり、大きな会議室に集まる。まだ頭がガンガン痛むので、さっきからお水ばかり飲んでいる。
「今日の内容は一部変更なんだって。急に高柳さんが来れるようになったから、最初は高柳さんの講演なんだよ。
くそー、始めから知ってたらあんなに飲まなかったのに……」
「高柳さんの講演!?」
「そうそう、学会に呼ばれて発表した内容の紹介って……」
今顔を会わせるなんて、気まずくて恥ずかし過ぎる!こんな場所で「昨日私何やらかしました?」って聞くわけにもいかないし……、あぁどうしよう。
それにしても学会で発表とか次元が違うなぁ。講演を聞けるのは嬉しいけど、今は……。
「おはよう、理緒ちゃん。昨日の仕事の電話は大丈夫だった?」
「……!
おはようございます。糸井沢さん。」
三次会に誘われた糸井沢さんに声をかけられて、ビクッと固まる。あの場を逃げて安心していたけど、同じプロジェクトに参加してる限り、これからずっと顔を会わせることになるんだ。
悪い人だとは思わないけど、どうも苦手だなぁ……。
「顔色悪いね、昨日は飲みすぎちゃった?
二日酔いに効くタブレットいる?」
「あ、ありがとうございます。」
「はい、お口開けて。あーん」
「え……あ……」
「うわぁ……理緒、何やってんの!朝から糸井沢の悪ノリにつき合うことないから。」
口元に指で差し出された錠剤を、横から鴻上くんが取り上げて自分の口に入れた。視線だけ送って鴻上くんにありがとうと伝える。
「悪ノリじゃなくて本気なんだって。昨日も言ったよね。」
「それなら尚更ダメ!!こいつ俺の彼女だから、そういうの勘弁して」
彼女!?
驚いて鴻上くんを振り返っても、私には構わず二人で話をしている。糸井沢さんが何かを耳打ちすると、鴻上くんは怒ったように糸井沢さんを睨んだ。
「うっせーな。軽々しく手を出せないくらい大事にしてんの。」
頭の上にぽんと手が乗せられる。鴻上くん、何言ってるんだろ?鴻上くんを見上げると、もう一度頭を撫でられた。
「……時間になりましたので始めます」
二人に気を取られていたら、壇上で高柳さんがマイクを手に取っていた。今日は眼鏡をかけてる。吸い込まれるように視線を上げると、はっきりと目が合った。
バチっと音がするんじゃないかと思うくらいの、絶対零度の視線。
う……絶対、何か怒ってる……。
「鴻上くん、昨日は最初から凄い酔ってたもんね……。
まあ、私も飲み過ぎちゃったんだけどさ。」
二日目の研修プログラムが始まる時間になり、大きな会議室に集まる。まだ頭がガンガン痛むので、さっきからお水ばかり飲んでいる。
「今日の内容は一部変更なんだって。急に高柳さんが来れるようになったから、最初は高柳さんの講演なんだよ。
くそー、始めから知ってたらあんなに飲まなかったのに……」
「高柳さんの講演!?」
「そうそう、学会に呼ばれて発表した内容の紹介って……」
今顔を会わせるなんて、気まずくて恥ずかし過ぎる!こんな場所で「昨日私何やらかしました?」って聞くわけにもいかないし……、あぁどうしよう。
それにしても学会で発表とか次元が違うなぁ。講演を聞けるのは嬉しいけど、今は……。
「おはよう、理緒ちゃん。昨日の仕事の電話は大丈夫だった?」
「……!
おはようございます。糸井沢さん。」
三次会に誘われた糸井沢さんに声をかけられて、ビクッと固まる。あの場を逃げて安心していたけど、同じプロジェクトに参加してる限り、これからずっと顔を会わせることになるんだ。
悪い人だとは思わないけど、どうも苦手だなぁ……。
「顔色悪いね、昨日は飲みすぎちゃった?
二日酔いに効くタブレットいる?」
「あ、ありがとうございます。」
「はい、お口開けて。あーん」
「え……あ……」
「うわぁ……理緒、何やってんの!朝から糸井沢の悪ノリにつき合うことないから。」
口元に指で差し出された錠剤を、横から鴻上くんが取り上げて自分の口に入れた。視線だけ送って鴻上くんにありがとうと伝える。
「悪ノリじゃなくて本気なんだって。昨日も言ったよね。」
「それなら尚更ダメ!!こいつ俺の彼女だから、そういうの勘弁して」
彼女!?
驚いて鴻上くんを振り返っても、私には構わず二人で話をしている。糸井沢さんが何かを耳打ちすると、鴻上くんは怒ったように糸井沢さんを睨んだ。
「うっせーな。軽々しく手を出せないくらい大事にしてんの。」
頭の上にぽんと手が乗せられる。鴻上くん、何言ってるんだろ?鴻上くんを見上げると、もう一度頭を撫でられた。
「……時間になりましたので始めます」
二人に気を取られていたら、壇上で高柳さんがマイクを手に取っていた。今日は眼鏡をかけてる。吸い込まれるように視線を上げると、はっきりと目が合った。
バチっと音がするんじゃないかと思うくらいの、絶対零度の視線。
う……絶対、何か怒ってる……。