秘密の会議は土曜日に
その瞬間に唇が塞がれて、自分の妄想が声に出てたんじゃないかと心配になる。


でも、違った。



「ずっと、誰にも邪魔されない場所でこうしたいと思ってた。」



熱い舌が触れて体が痺れる。私がさっき欲張りな妄想をしたように、高柳さんも私とキスしたいと思ってくれたの?


だとしたら、こんなに嬉しい事ってない……。柔らかく触れられて溶けていく意識。ドキドキして、ほんの少し怖くて、全身の力が抜けていく。


「んっ……ぁっ……」


私にはキスの仕方はわからないけど、高柳さんがそうしてくれるように舌先を絡めて唇で甘噛みしてみた。私に与えてくれる甘い痺れを、できることなら高柳さんにも同じように感じて欲しいから。



微かに動く高柳さんの肩。



「ふぁっ……おかしかったですか?

私……こういうの、わからないから……」


「わからずにしてるなら、忠告しておくけど。

理緒のこと欲しくて堪らなくなるから、この先が怖いなら俺を煽らない方がいいよ。」



まっすぐ注がれた視線が熱い。胸が苦しくなって、つい逃げてしまった。



「そうだ!

おおお花を早く活けないとですね!せっかくこんなに綺麗なんだからっ。」


弾かれたように体を離す。くっつきたくなったり、離れたくなったり、自分で自分の脈絡のなさに呆れる。


「そんなに身構えなくても。

俺だっていい大人なんだから、急に理緒が困ることしたりしないよ。」


「ううう、そんな心配はしておりません!!」


立ち上がって花瓶になりそうなものを探していると、高柳さんが「少しは心配して」と笑った。


ドキドキとうるさい心臓の音は無視する。普段から花を飾るような生活ならさっと花瓶が出せるんだろうけど、リビングには108本のバラを活けられるキャパを持つ容器はなさそうだ。


続けて隣の部屋も探してみるけど、本棚と機械しかないからここにも無い。


「あのゴミ箱に入りそうかな。

それにしても立派なサーバルームだね。個人宅とは思えないくらい。」


「うひゃああ!こっちの部屋見ちゃダメーーー!」
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