秘密の会議は土曜日に
自宅がある最寄り駅の24時間営業のスーパーに行って、夜ご飯を調達する。土日は好きなだけ眠れるんだと思うと嬉しくて変なテンションになってくる。


「わーい、お弁当が半額だー!」


398円のお弁当が半額で199円、スバラシイ。一つ取ってかごに入れたあと、ふと考える。


こんなに安いんだもん。明日の分も買えば良いよね?


賞味期限が多少過ぎたところで、私の図太い体には影響はないはず。そう思って二個目のお弁当も追加した。


もういっそのこと山盛り買って冷凍庫に入れとけばよくない?そしたら毎日どれだけ残業しても半額弁当が食べ放題じゃない?


疲れすぎてそれがとても悲しい考えだということにも気付かず、ウキウキしながらお弁当を物色する。


「こんばんは。この近くにお住まいなんですか?」


がっつり系の特盛カルビ弁当を手に取ったところで予想外に声をかけられ、全身から冷や汗が吹き出る。


この声は……鬼畜皇帝!


「こここんばんはっ。

はいっ、自宅はすぐ近くであります。」


「ではご近所だったんですね。俺もこの近くなんですよ。こんな時間までお仕事ですか?」



「はっ」



「……って、そうか。田中さんがこんなに遅くまで仕事してるのはウチの会社のせいか。すみませんね。」



「いえ、とんでもない。元々は弊社の不備が問題でありますから。何と申し開きをしてよいやら……」


システムトラブルを思い出して血の気が引く。この鬼畜皇帝には私の生殺与奪を握られているんだ。不興を買ったらエライことになってしまう。


「いやいや、良いですよ。今はお互いプライベートだ。お食事まだなら、いっしょに食べませんか?

ん? 田中さんは二人暮らしですか?」


鬼畜皇帝は私の買い物かごに乗った二つの半額弁当を見ている。


「ひゃい?」

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