秘密の会議は土曜日に
ずっと憂鬱を抱えて仕事をして、夜遅くに帰宅した宗一郎さんに抱き締められて、やっと深く呼吸できた。


「変ですね……」


「どうした?元気ないけど」


落ち込んだ理由を言うのがみっともなくて、「いつも通りです」と誤魔化す。ベッドの中でキスをすると、まるで喉が乾いてるようにいつまでもその甘さが欲しくなった。


「んっ……」


「本当に、どうかしたの?」


「はぁ……あ……、すみません。もう一度……」


宗一郎さんの舌を奥まで差し込まれて、幸せで体が溶ける。私にとっては、このキスはさっきの黒い気持ちを中和できる唯一の解毒剤。


「理緒……。怖がらせたくないけど、止められなくなったらごめん」


「ぁっ……んぅっ……」


昨日撫でてくれた場所に、今夜は唇が触れた。熱くてじんじんと痺れくる。いつの間にか私はシャツを着ていなくて、抱き締められると直接伝わる体温が暖かだった。


それに、宗一郎さんの視線も昨日とは少し違う気がする。目が合うだけで体の熱が上がっていく。恥ずかしいのに、もっとその目を見ていたい。


「ぁ……やっぱり、私……

んっ、変です」


「少しも変じゃないよ、可愛い。

俺だけが知ってる顔だ」


ゆっくりと舌が這って、手のひらからも熱が伝わって。しばらくするといっぱいいっぱいになって体を離した。


「これ、以上は……

呼吸が……できなくっ……ん」


「まだ根を上げるには早すぎるな。今はまだ、理緒が気持ちよくなる練習だから。」


「練習?」と聞き返すと、宗一郎さんは頷いて「俺が正気を保ってる間の話だけど」と付け加えた。


「触られたら怖がりそうな場所には触れないようにしてるし、これでも理緒に合わせてるつもり。」


「やっ……あぁ!でもっ……ぁ」


噛まれた肩がびくんと震える。真っ赤な顔はできれば見ないで欲しい。


「この焦れったさも楽しいけど、

本当はもっと理緒をぐちゃぐちゃにしたい」


耳に唇が触れて囁かれた言葉に、私の何かが壊れて溶けた。


「ぁ……」


「あんまり苛めて、明日の仕事に響いたら悪いか。

……お休み、理緒」



え?おやすみ……!?


さっきの言葉が反響して、私は全く眠れそうにないですけど!


そんな私を知る筈もない宗一郎さんは、腕に私を抱えたまま瞳を閉じた。少し伸びた髪が首筋にかかってくすぐったい。


「ん」


この体はどうなってしまったんだろう。全身がざわざわしてどうしようもないので、仕方なく明日の仕事の段取りを考えてみたけど、それも上手くはできなかった。
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