秘密の会議は土曜日に
「マムシドリンク?
……なんだ、理緒は永田さんのを知ってたのか。言ってくれれば話が早かったのに」
「ごほっ……げふっ
それで、飲んじゃったんですか!?」
「さっきから咳してるけど、やっぱり風邪引いてるよね。顔も赤いし」
宗一郎さんに体温計の場所を教えられて、言われるままに熱を計ると38度を指している。
「ほら……無理ばかりするから。風邪薬も同じ場所にあるから、飲んで今日は休みな」
「いえ、そういうわけには……ごほっ……
今日は定期メンテナンスですから、夕方から出社します。」
今思えば、この時から風邪で頭がまともに働いてなかった。宗一郎さんに言えば心配するに決まってるから、黙っておけば良かったのに。
「定期メンテナンス?開発中のプロジェクトにそんなもの無いだろ」
「はい。今のではなく、その前のです。ごほっ……ごほっ……吉澤さんが担当してるプロジェクトの運用の修正の件、私がやることになってて。」
「どうして……そんなことまで理緒がしてるんだ。今のプロジェクトは専任契約だから、他の仕事はやらなくていい筈だ。
……理緒、会社で不正に働かされてるな?」
「いえ、良いんです。こほっ……他にやれる人いないし、私が勝手に提案した修正案だから。
それに、げふっ……宗一郎さんに始めに褒めて貰った仕事だから、自分で最後まで出来て嬉しいですよ。」
「この……馬鹿!」
宗一郎さんが立ち上がって、画面の向こう側の景色か変わった。
「そんな酷い扱いをさせる会社はすぐ辞めろ!
前から気になってたんだ。その会社は理緒に相応しくない。」
「嫌です!
会社辞めたら……辞めたら、宗一郎さんのプロジェクトで働けなくなるじゃないですか。」
「そんなことはどうでも……」
表情を曇らせた宗一郎さんの言葉に、ざっくりと身を切られるような痛みを感じた。
「どうでもいいですか?
……前にプロジェクトに私が必要と言ってくれたのは、
田中理緒というエンジニアが必要だって言ってくれたのは嘘だったんですか?」
ぽろぽろと涙が頬を伝う。知らない場所に置いていかれたような心細さで胸がつまった。宗一郎さんにどうでもいいと言われたら、今まで躍起になって働いていたのが馬鹿みたいに思えてくる。
「……違う」
……なんだ、理緒は永田さんのを知ってたのか。言ってくれれば話が早かったのに」
「ごほっ……げふっ
それで、飲んじゃったんですか!?」
「さっきから咳してるけど、やっぱり風邪引いてるよね。顔も赤いし」
宗一郎さんに体温計の場所を教えられて、言われるままに熱を計ると38度を指している。
「ほら……無理ばかりするから。風邪薬も同じ場所にあるから、飲んで今日は休みな」
「いえ、そういうわけには……ごほっ……
今日は定期メンテナンスですから、夕方から出社します。」
今思えば、この時から風邪で頭がまともに働いてなかった。宗一郎さんに言えば心配するに決まってるから、黙っておけば良かったのに。
「定期メンテナンス?開発中のプロジェクトにそんなもの無いだろ」
「はい。今のではなく、その前のです。ごほっ……ごほっ……吉澤さんが担当してるプロジェクトの運用の修正の件、私がやることになってて。」
「どうして……そんなことまで理緒がしてるんだ。今のプロジェクトは専任契約だから、他の仕事はやらなくていい筈だ。
……理緒、会社で不正に働かされてるな?」
「いえ、良いんです。こほっ……他にやれる人いないし、私が勝手に提案した修正案だから。
それに、げふっ……宗一郎さんに始めに褒めて貰った仕事だから、自分で最後まで出来て嬉しいですよ。」
「この……馬鹿!」
宗一郎さんが立ち上がって、画面の向こう側の景色か変わった。
「そんな酷い扱いをさせる会社はすぐ辞めろ!
前から気になってたんだ。その会社は理緒に相応しくない。」
「嫌です!
会社辞めたら……辞めたら、宗一郎さんのプロジェクトで働けなくなるじゃないですか。」
「そんなことはどうでも……」
表情を曇らせた宗一郎さんの言葉に、ざっくりと身を切られるような痛みを感じた。
「どうでもいいですか?
……前にプロジェクトに私が必要と言ってくれたのは、
田中理緒というエンジニアが必要だって言ってくれたのは嘘だったんですか?」
ぽろぽろと涙が頬を伝う。知らない場所に置いていかれたような心細さで胸がつまった。宗一郎さんにどうでもいいと言われたら、今まで躍起になって働いていたのが馬鹿みたいに思えてくる。
「……違う」