秘密の会議は土曜日に
いつもの悪夢を見た。


システムテストをすると処理がエラーする夢だ。夢だとわかっていても、胃が絞られるような恐怖感は消えない。


「この段階でエラー原因不明なんて……カットオーバーに間に合わないよ……」


デバッガーを立ち上げて処理を再実行。トラブルシューティングのためのコマンドを叩いたつもりが、どういうわけか全データを完全に消去するコマンドになっていた。


「いやぁあ……消えないで！復旧間に合わないからっ！！」


叫んで目を覚ますと、最初に手の暖かさを感じる。誰かが私の手を包み込むように握ってくれていた。


その手以外は、大量に吹き出た汗が冷えて寒い。


「大丈夫、何も消えてませんし、エラーもしてません。」


「本当に……？」


額と首筋にフワフワとしたタオルが触れて、気持ちいい。体にかかっている布団もフワフワして心地良かった。


この悪夢は、いつもなら会社に泊まって仮眠してるときに見るんだけど、ここはまるで高級ホテルみたいに居心地がいい。


それにほんの少しだけシトラス系の香りが鼻をくすぐって、甘いけど涼しげな香りが癒し効果抜群で……



「え？ここはどこ！？」


今度こそはっきりと覚醒して飛び起き、辺りを見渡す。全く見覚えのないスッキリとした都会的な部屋と、大きな窓からはキラキラした夜景が見えた。


「ここは俺の部屋です。

かなりうなされてましたけど、大丈夫ですか？」
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