秘密の会議は土曜日に
用意していたご飯をダイニングテーブルに並べると、宗一郎さんはびっくりするほど喜んでくれる。こんな平凡な食事には、言い過ぎなくらいの誉め言葉。
「料理は得意でも好きでもないんですが、宗一郎さんに作るのは楽しかったです。時間がある時は、これからも作ります。」
「ありがとう。俺もそうするよ」
「……そういえば宗一郎さん、料理凄い上手でしたね。前に頂いたお食事はとんでもなく美味しかったです。
できれば、また作って下さい」
「わかった。」と告げる顔は真っ直ぐ見れないほど幸せそうで、あどけない微笑み。
「そうだ、理緒にお土産買ってきたんだ」
手渡された包みを開けると、ガラス瓶の中に赤いバラが浮いている。
「綺麗ですね……瓶の中にバラが閉じ込められてるみたい。」
「ハーバリウムと言うらしい。中の液体とガラスの屈折率が同じだから、花が浮いてるように見えるそうなんだ。これなら、花も枯れないから」
「不思議で綺麗ですね。……屈折率が同じ……なるほど」
ハーバリウムに見惚れていた私に、宗一郎さんの少し呆れた顔が向けられる。
「だから、あれをそろそろ捨ててくれないかな?
帰ったら、枯れきったバラと裂けた婚姻届が置いてあって、……理緒からの恨みのこもったメッセージのようで、
あれはすごく……恐ろしかったんだ。」
「う……それは、すみませんっ
なんか……捨てられなくて。明日捨てますから」
ほっとしたように息をついた宗一郎さんが、もうひとつ小さな箱をテーブルに乗せる。目の前でリボンをほどいて箱を開けると、キラキラと輝く華奢な指輪が乗っている。
「理緒、左手貸して」
手を差し出すと、その指輪はぴったりと指に収まる。透明に光る石が眩い。
「改めて言うよ。俺と結婚してください」
「は、い……。」
指輪をつけた手を引っ張られて、宗一郎さんにぎゅっと抱き締められる。
「ありがとう。愛している。
生涯、幸せにするから」
「私こそ……ありがとうございます。
宗一郎さんに会えて、好きになって、私の世界は変わりました。
私も、宗一郎さんに幸せになってもらえるように頑張ります」
「俺はもう十分幸せだよ。
そうだ、理緒。気が変わらないうちに今日の議事録残しておいて」
「え……」
今日の議事録って……。
さっきの、ベッドの中をどうやって議事に残したらいいというの!?
「宗一郎さんの変態!あれは言語化不可です!!」
「いや、結婚の同意だけでいいんだけど。
くく、まさか……。あ、書いてくれるなら喜んで読むよ?」
笑いを堪えてそう言われる。
真っ赤になった顔を誤魔化すために、指輪の包装紙を宗一郎さんの顔にぎゅうぎゅうと押し付けて目隠しした。
「料理は得意でも好きでもないんですが、宗一郎さんに作るのは楽しかったです。時間がある時は、これからも作ります。」
「ありがとう。俺もそうするよ」
「……そういえば宗一郎さん、料理凄い上手でしたね。前に頂いたお食事はとんでもなく美味しかったです。
できれば、また作って下さい」
「わかった。」と告げる顔は真っ直ぐ見れないほど幸せそうで、あどけない微笑み。
「そうだ、理緒にお土産買ってきたんだ」
手渡された包みを開けると、ガラス瓶の中に赤いバラが浮いている。
「綺麗ですね……瓶の中にバラが閉じ込められてるみたい。」
「ハーバリウムと言うらしい。中の液体とガラスの屈折率が同じだから、花が浮いてるように見えるそうなんだ。これなら、花も枯れないから」
「不思議で綺麗ですね。……屈折率が同じ……なるほど」
ハーバリウムに見惚れていた私に、宗一郎さんの少し呆れた顔が向けられる。
「だから、あれをそろそろ捨ててくれないかな?
帰ったら、枯れきったバラと裂けた婚姻届が置いてあって、……理緒からの恨みのこもったメッセージのようで、
あれはすごく……恐ろしかったんだ。」
「う……それは、すみませんっ
なんか……捨てられなくて。明日捨てますから」
ほっとしたように息をついた宗一郎さんが、もうひとつ小さな箱をテーブルに乗せる。目の前でリボンをほどいて箱を開けると、キラキラと輝く華奢な指輪が乗っている。
「理緒、左手貸して」
手を差し出すと、その指輪はぴったりと指に収まる。透明に光る石が眩い。
「改めて言うよ。俺と結婚してください」
「は、い……。」
指輪をつけた手を引っ張られて、宗一郎さんにぎゅっと抱き締められる。
「ありがとう。愛している。
生涯、幸せにするから」
「私こそ……ありがとうございます。
宗一郎さんに会えて、好きになって、私の世界は変わりました。
私も、宗一郎さんに幸せになってもらえるように頑張ります」
「俺はもう十分幸せだよ。
そうだ、理緒。気が変わらないうちに今日の議事録残しておいて」
「え……」
今日の議事録って……。
さっきの、ベッドの中をどうやって議事に残したらいいというの!?
「宗一郎さんの変態!あれは言語化不可です!!」
「いや、結婚の同意だけでいいんだけど。
くく、まさか……。あ、書いてくれるなら喜んで読むよ?」
笑いを堪えてそう言われる。
真っ赤になった顔を誤魔化すために、指輪の包装紙を宗一郎さんの顔にぎゅうぎゅうと押し付けて目隠しした。