秘密の会議は土曜日に
月曜には定時より2時間前に出社してエヴァーグリーンインフォテクノロジーに提出する報告書を仕上げる。

いつもなら週明けは会社に行くのが嫌でしょうがないのに、今日は早く仕事したくてウズウズした。


報告書は簡潔に二ページでまとめ、チェック箇所と結果一覧を添付資料としてリストにする。今回問題を起こしたライセンス処理以外にも改善が必要な箇所が34箇所見つかったので、項目ごとに参考資料を作成。


「これで一通りの資料は完成、と。

でもこれ、全部印刷したら持っていけないくらい重いかも……。」


仕方がないので参考資料は二分の一サイズに縮小して印刷する。さっきからプリンターが動きっぱなしなので、業務時間中に印刷したら危うく周りに迷惑をかけるところだった。


朝イチには課長に報告書のチェックを依頼した。


「こちら、火曜日に提出するエヴァーグリーンインフォテクノロジーへのシステム改善案です。

お忙しいところ大変恐縮ですが、至急ご確認をお願いします。明日のアポイントへのご同行もくれぐれも宜しくお願いします。」


「はーい。……ってこれ多くない?どうしてこんなにあるの!?」


「類似の見直しを含めたので項目が増えたと先週お伝えしましたが……。」


「そうだっけ?まぁいいや。適当に見ておくよ。それから火曜日なら行けなくなったから。ごめんね。」


「え?先方は事業部長がいらっしゃるので必ず来てくださいとお願いしましたよね?」


「だからー。大事な会議が入っちゃったんだもん。それに俺が行ってもどうせ課長じゃ肩書き釣り合わないって。いっそ若くて可愛い女の子でもつれていった方が喜ぶんじゃないの?新人の片山さんとか。

あ、別に田中さんがもう若くないとか可愛くないとか言ってるわけじゃないんだけどね?」


課長は視線を逸らして誤魔化している。さっき課長のスケジュールを確認したら、私が登録したアポイントに被せるように『ゴミ分別対策会議』が予定されていた。大事な会議ってまさかこれのことを言ってるの?


「……アポイントへの同行キャンセルの件は承知しました。でも資料のチェックは今日のうちに絶対お願いしますよ!」


「あーもう、新人の女の子と比べたからってヘソ曲げないでよ。女性はこれだから……」


私は課長があからさまにアポをサボろうとしていることに腹を立てたんですけど!

イラッとはしたけど、睡眠時間が足りてるせいか課長のどうでもいい小言はどうにか受け流せた。
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