秘密の会議は土曜日に
「いかがなさいました?」


「いえ、問題ありません。まずは資料のご説明をさせて下さい。」


今は大事な打ち合わせ。余計な感情に振り回されている場合じゃない。直ぐに頭を切り替えて仕事に徹する。




「……というのがライセンス処理に関する改善案でございます。

誠に申し訳ございませんが、ライセンス処理以外にも同等の問題点が34件確認されました。確認対象の処理については添付資料に一覧表を記載しております。」


「……ひとつだけ質問してもいいですか?

この資料作成に関わっているのは何人くらいの方なんでしょうか。」


「作製者は私で、課長の確認を受けておりますので2名です。」


「確認対象の処理は全部で1186件もありますけど、これ全部を実質一人で……?

失礼、余計な口を挟みました。ご説明を続けてください。」


私のような下請け企業の末端の社員が作成した資料を事業部長にお見せするのは失礼にあたるのかな……。


不安がよぎったけど、今は報告に集中しなくては。もう一度気持ちに渇を入れて説明を続ける。


「問題のあった処理については、こちらに対策案を記載しております。

件数が多いので詳細は割愛いたしますが、メンテナンススケジュールに則って順次対応させていただきたく存じます。」


参考資料を閣下の前に広げる。ハーフサイズで印刷しても何回かに分けないと机の上に乗せられないので、印刷した紙を鞄から取り出しては乗せる動作を繰り返した。


「両面、2アップで印刷してこの量……」


「資料が煩雑になり申し訳ございません。データでも別途送付いたします。印刷資料がご不要であれば持ち帰りますので……」


「いや結構です。そもそもこれどうやってここまで運んできたんですか……いや、その前に!


これは五日でやる仕事量じゃないだろ!こんなことしてるから倒れるんでしょう!」
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