秘密の会議は土曜日に
閣下が椅子から立ち上がったのでびくっと身を竦めた。見上げると眉間にはくっきりと皺が刻まれている。



「ひっ……。た、体調管理への考慮が漏れており申し訳ございません。

不足している点がありましたら、恐れ入りますがご指摘を……」


「違います!

リストを見た限りでは項目も確認観点も申し分ない。リストアップだけでも十分過ぎる程です。

さらにその上で問題項目の改善案まで詳細に作ってくるなんて……

どう見てもやりすぎなんですよ!」


「ごごごめんなさ」


「謝る必要はなくて。

……あなたはいつもそうだ。想像の斜め上。」


閣下は深いため息をついた。怒っているのに妙に色っぽい顔なので慌てて視線を逸らす。


「報告書とリストをみる限り仕事は完璧です。こんなことは部下にも滅多に言いません。

でも、生き方が下手すぎる。危なっかしくて見ていられない。」


「はわっ!すみませんっ」


「だから、謝る必要はないと言ってるでしょう!」


「ひっ……」


謝ると怒られるのでとうとう何も言えなくなってしまった。


「……失礼。取り乱しました。

担当者の吉澤さんと比較すると、悪いがスキルの差は歴然としてます。

現行のシステムについては吉澤さんに引き続き担当頂いても構わないですが、次期システムのご担当については、あなたを正式にアサイン依頼します。」


「え?」


「次期システムは現状よりミッションクリティカルなんで、正直吉澤さんでは心許ないんです。

サポートは24/365に近い形態を理想としております。おそらく弊社にほぼ常駐していただく形となるかと。


オファーについては御社に別途連絡いたしますので。」
< 26 / 147 >

この作品をシェア

pagetop