秘密の会議は土曜日に
「大変お待たせいたしました。

社内で確認作業は最速で実施しておりますが、難航しており」


「そういうのは良いから。

だからさっさと納期を答えろよ!」



大きな声に体が震えた。男の人のこういうところは本当に嫌。


若い女というだけで明らかに見下しているのがわかる。……といっても私はそれほど若くはないんだけど。


その上恫喝するような態度に出られると、悔しいと思っても本能的な恐怖心には勝てないのだ。


「……3営業日後の金曜日になります。」


もちろん五日くださいなんて言えないから、当初のギリギリの期限を言ってみる。


「は?アンタうちの会社舐めてんのか?」


会議室の机が蹴られて、ドカッとけたたましい音をたてる。私は再びの騒音にびくついた。


「これだけ迷惑かけといて、普通は今日の午後イチには持ってくるもんじゃないの!?

それくらいのスピード感がないと困るんだよなぁ!

そんなふざけたこと、私は上に報告できませんよ?それともあんたが直接謝ってくれるんですかねぇ。」


さっき渡した資料を筒状に丸めて机を叩きながら怒鳴っている。


ばっし ばしばし ばっしばし……


まるでパンクなドラマーみたい。



「誠に申し訳ございません」


「謝ってるだけで誠意が感じられねんだよ。御社のようないい加減な会社との取引は今後は控えた方が良いんですかね……」


待って。それだけは困るからっ。


先輩がいない間に契約破棄なんてされたら私が会社で生きていけない。


「それだけはどうか……!」


「今の発言は、コンプライアンス違反だから」


私の声に別の男性の声が被った。
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