秘密の会議は土曜日に
諜報員田中による高柳事業部長へのご報告


◼総括
良い噂・悪い噂の両方が飛び交っており、高柳事業部長への関心の高さがうかがえる。反発する勢力は無し。



◼休日の噂
・一切が謎に包まれている
・プライベートを知りたい社員多数



◼粛清に関する噂
・えげつない滅多切り
・負傷者多数(九官鳥のキューちゃんに注意。悲鳴を聞いている場合あり)



◼異性関係
・女性社員からのアプローチは全て断っている
・社長婦人と愛人関係の疑い(社長を裏から操っている)
・最近変な女と付き合っている



◼過去
・上司を左遷した血濡れの反逆者
・デスマーチを立て直した功績に賛辞多数


以上


* * *



「今週集めた情報は、以上……」


「いや、だから、これは何?」


自信を持って報告をしたところ、高柳さんは頭を抱えて髪をぐしゃぐしゃっと散らした。どことなくお疲れのご様子に見える。


「そ、宗一郎さん……が、土曜に私と密会する理由をやっと理解して。

敵味方入り乱れる組織において、忠実なしもべとして諜報活動を行える工作員を求めておられたのだと。

かくなる上はこの田中、全身全霊を持ってお仕えする所存。」


「……そう。

もう、ね。何処から訂正していいか分からない位なんだけど。

違うよ。

理緒は俺の意図を全く理解してない。だから理緒のペースに付き合うのはもうやめた。」
< 81 / 147 >

この作品をシェア

pagetop