秘密の会議は土曜日に
帰り道は、手を繋いで一緒に歩いた。夕焼けに照らされる、川沿いの道。


「今日の議事録、よろしく」


「え……議事録って……」


「得意なんだろ?お互いの認識を確認するには有用だ。後で言った言わないの水掛け論になっても困るからね。」


でも……でもでも!今日の議事録書くのは相当精神力が削られそうなんですけど!!


「それから、今日は家に来てもらったから、次回は理緒の部屋に行きたい。」


「えぇ……!?私の部屋は狭い上に散らかっていて……」


「良いよ、そのままで。

ちなみに今日で累計違反回数は32回だ。ペナルティ一回分ってことで、招待して。」


「黙って数えてるなんて……!これはいつまで続くのっ」


「でしょうか?」と言うのは必死に飲み込んだ。言えば抜け目なくカウントされるに決まっている。このままでは何度ペナルティを受けても消化しきれる気がしない。


「いつまでって、理緒がプライベートで普通に話してくれるようになるまで。本当に、理緒の教育は骨が折れるな。」


やれやれ、とでも言いたそうな様子で高柳さんは笑っている。いつも知らない間に敬語をカウントして私に命令してる立場なのに……!そういう所はわりと意地悪なくせに!



「意義あり!これは不平等!

宗一郎さんは殆どミスしないから私には命令のチャンスが無いわけで……」


「ん?

俺に何か頼みでもあるの?そんな機会を待たなくても、なんでも聞くけど」
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