窓のなかの世界
窓の外の世界
日曜日の昼下がり。
洋服や靴を満足するまで買い込んだ後、疲れた足を休めるために入ったレトロな喫茶店でサンドウィッチと紅茶でひと息つく。
そろそろ帰ろうかなと窓の外を歩く人々を眺めていると、二週間前に寝た男が可愛い女の子と手を繋いでいる姿が見えた。
ああ、うまくいったんだ。
よかったね。おめでとう。
そんな届くはずのない言葉を心の中で呟きながら二人を観察する。
女の子は知らない子だからわからないけれど、ここから見るかぎりは楽しそうだ。
アイツのほうは、私や友人達と遊んでいるときとは違う愛情に満ちた表情で微笑んでいる。
……幸せそうな顔しちゃって。
今度からかってやろう。
アイツはすごく照れるんだろうな。
一人でその場面を想像しながら小さく笑っていると、気が付けば二人の姿は見えなくなっていた。
なんとなく立ち上がる気が起きなくて、ぼんやりと窓の外を眺め続ける。すると窓がスクリーンかのように、さきほどの二人の姿がはっきりと浮かんできた。
なんだか、見ているこちらが恥ずかしくなるくらい、柔らかく初々しい雰囲気の二人だった。
アイツや、数日前に会った他の友人達からなんの話も聞いていないから、まだ付き合ってはいないのかもしれないけれど、あれは時間の問題だ。
早ければ今日中。
遅くともニ、三日中には付き合うだろう。
どうやら私と寝たことは無駄じゃなかったみたいだな、と冷めた紅茶に口をつけた。