【続】ねぇ…先生。。
『秋平って言葉足らずなときがある。
お前はしっかり伝えてるつもりでも
相手にお前の気持ち、伝わってない可能性あるぞ?
きっとさ、零ちゃん
今ごろ家で泣いてんじゃねぇの?
このままでいいのかよ…
結婚考えてる、
ってこの間、言ってたじゃねぇか…』
裕司は俺にタバコを渡す。
『この1箱がなくなったら帰るぞ』
さすが裕司だ
クリスマスのときもそうだった。
俺は昔タバコを吸っていた時期があった。
今じゃ滅多に吸わないがこういうときは別。
それを裕司は分かってるから
あらかじめタバコを用意してくれていた。
しかも俺の好きな銘柄のタバコを。
『たまに吸うタバコもいいよなぁ…』
裕司は火のついたタバコを唇にはさみ煙をはく。
『そう言えば裕司、お前は彼女いねぇの??』
裕司はあははと、笑いながら言った。
『ただいま会社の子に片想い中で~す』
これを聞いた俺は驚きを隠すことができなかった。
裕司の口から
『片想い』
なんて言葉が出てくるとは思わなかった。
いつだって手に入れたいものは手に入れた
それが裕司だったから。
『ま、頑張れよ』
それからいろんな話をした。
気づくともう箱の中は空っぽで。
『さて、行くか』
またバイクにまたがる。
零…ごめんな?
俺の言葉が足らなかった。
今から帰るから。
家に…いてくれよ?