【続】ねぇ…先生。。





『大人になった俺はもう成長することはできない。

でもまだ零は成長中で。


高校生の頃の零は俺に追いつこうと背伸びをしてた。

ただ今度は俺が背伸びをしないといけない番なんだ。


俺…そんなことにも気づかなくて。

嫉妬なんて幼稚なことして。



バカですよね…俺。

零の成長に気づかないなんて。


自分が情けなくて

零独りに抱え込ませたのが申し訳なくて

休みの間、俺…抜け殻みたいでした。


今日の授業中だって零のこと考えてて授業放棄するところでしたもん。


教師…失格ですよね』


手の甲で涙を拭い笑顔を浮かべる。


でも水谷先生は笑ってくれなかった。

いつもなら一緒に笑ってくれるのに俺の顔を真剣な目で見つめていた。



「零ちゃんは…今、どこにいるんですか?」



『藍葉の家にいます

藍葉が責任持って零のこと預かるって。』


なら安心ですね、水谷先生はそう言ってやっと笑顔を浮かべた。



「朝倉先生…??

先生は教師失格なんかじゃないです


そりゃあもう、私たちが成長する見込みなんてないですよ?

でも、いいじゃないですか。


零ちゃんはそんなこと、絶対思ってないですよ


自分と朝倉先生の間にそんな距離は感じてないはずです。

勝手に妄想してちゃダメです


零ちゃんの言葉を聞かずに自分でどうにかしようとしちゃいけないです」


笑顔を浮かべていた水谷先生の表情はすぐに引き締まった。

そして俺へ放ったその言葉は俺の胸へと突き刺さる。







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