【続】ねぇ…先生。。
『俺はハードルの選手だった。
予選通過して決勝までいった。
でも、優勝できなくて俺は3位
落ち込んでる俺の目の前である子がね、転んだんだ。
名前だってどこの高校かだって知らない子
俺、ほおっておけなくて手を差し出した。
そしたらその子、笑って
「ありがとう」
そう言ったんだ。
俺、その笑顔を見たら元気になれた。
名前も学校も知らない子
だけどあの笑顔だけは今も忘れられない。
ここまで話せばさすがに零も思い出すよな?』
コクリと頷く。
思い出した。
あの日、ヒールを履いていた私は慣れないせいか何度も転びそうになっていた。
そして1度だけ本当に転んじゃって今もまだ、傷が少し残ってる。
痛くて半泣きだった私の前に差し出された手。
顔をあげると見知らぬ人
こんなこと、さっきまで忘れてた。
そして今、思い出したんだ。
あのとき
あの場所で
私に手を差し出したのは
亮二だった