【続】ねぇ…先生。。
『あのときの俺はまだ幼稚で。
何も分からなかった。
でも今なら分かる。
あのとき抱いたキモチ
零、俺はお前が好きだ
出逢ったときからずっと、好きなんだ』
イヤだった。
その、亮二の真っ直ぐな瞳が。
イヤだった。
その、亮二の真っ直ぐな言葉が。
「亮二、私は…『分かってる』
はっきり断ろうと思った。
でも私の言葉を遮る亮二
その瞳はやっぱり、まっすぐで。
思わず目を逸らす。
これ以上視線を交えていられなかった。
亮二の瞳に吸い込まれそうで怖かったんだ。
『分かってる。
お前が好きなのは朝倉さんだけなんだろ?
分かってるから…だから、言いたくなかったんだ。
この関係が壊れるのがイヤで俺は封印しようと思ってた。
でも、できない。
俺のせいで朝倉さんと別れそうなら
この関係が壊れたとしても
俺と零は一緒にいちゃいけない。
好きだからこそ、
零には1番に幸せになってほしいんだ。』
ゆっくりと亮二のほうに視線を向ける。
視界に入った亮二の足は震えていた。
ゆっくりと上へ視線をもっていく。
手も、体も震えていて。
ダウンが濡れていた。
ベンチに丸い雫のあとがつく。
「亮二…ごめん」