【続】ねぇ…先生。。
『今日は海じゃねぇんだ』
あれから約1時間
景色のいい小高い丘にやってきた。
『寒ぃ~んだからしからないだろ』
俺は裕司を睨みながら芝生の上に腰を下ろした。
季節は秋
それも冬に近い秋で。
夜の風が肌に突き刺さる。
『そういうこと言うんだ~
誰だっけなぁ…
クリスマスに海に行ったのは。』
ニヤニヤと笑いながら裕司は俺の隣に座った。
『黙れ、裕司』
今から約5年前
零がまだ高校2年のころの話だった。
本当なら幸せなクリスマスを送るはずだったのに
零は俺に別れを告げた。
俺はどうしようもなくて昔よく言った海へ車を走らせた。
そこで俺を慰めてくれたのは裕司で。
なんだかんだ言いながら結構裕司を頼りにしてるんだ、俺は。
『で、今日は何があったんだよ?』
それから黙ってしまった俺に裕司は声をかける。
でも俺は答えることができなかった。
何か言葉を発すれば、それと同時に涙が零れそうだった。
それが怖くて俺は黙り込む。