はっぴーえんど。
どうせ、他人。
俺には関係ない。

だが、その少女とはその日を境に何度も会うようになった。


…今日も来てる…。

俺がベンチにのんびりと寄りかかっている中、少女は肩で息をしながら1歩ずつ歩いている。

ある日、少女は俺の目の前で倒れた。
いつもの俺なら見捨てるはずなに…何故かひかれるものがあった。

俺は這いつく場る少女の手を取り、松葉杖を渡した。

「…ありがとう。」
君は少し驚いたが、俺を見て微笑んだ。

…ありがとう。
久しぶりに聞いた言葉。
最後に聞いたのは兄の口からだったかな?

「じゃ、私、行くね…。」
そう言って、彼女は俺の前から姿を消した。
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