私と貴方
7❀✿空っぽ

···蛍斗


螢斗・・

子供達の卒業も就職も
聞いてはいたが
言葉をかけることもしていなかった。

気になりつつも
日々の仕事に翻弄されていた。

今日は、市川とは一緒じゃなく
日にちが変わる前に帰宅した。

呼び鈴をならしても
誰も出てこない・・

自分で鍵を明けて中に入る
「おい、帰ったぞ。
なんだ、真っ暗じゃないか
仕事もしないで家にいるくせに
何で先に寝るんだよ。
まったく。」
と、水を飲もうとコップを探すが
コップがない!!
よく見ると食器棚は空っぽだ。

俺は??

慌てて、自分の寝ている寝室に行った。
ここは・・・変わってない

では、柚子が寝ている部屋は?

なにっ・・なんで?何もない?・・
全て、無くなっている。

子供達の部屋は
布団のないベット
きれいに片付いている勉強机
壁の飾り
主だけがいない・・
ああ、一人暮らしを
始めたんだ。

俺は、トボトボとリビングに戻り
ソファに座り・・

ああ、風呂に入ろう
その前にトイレ・・

だが・・
トイレもガランとして
飾りも何もない
トイレットペバーと
むき出しの便座

脱衣場も風呂場も
俺のもの以外は
なにもない。

家族が使っていたものは
全て無くなり
足拭きマット、バスタオル、タオルは
まっ白の新しいものが
置かれていた。

頭で考えるより
体が勝手に動いて
俺は、シャワーを浴びていた。
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