私と貴方
···蛍斗②
翌日、会社に出社すると
受付の社員から
「杉田専務が見えたら
社長室に来るようにと」
「社長室だね。
わかった。ありがとう。」
と、言い、社長室へ向かう。
社長室に着き
< コンコン >
< 入りなさい >
中に入ると
社長、副社長、顧問弁護士の平田さん
市川がいた。
「座りなさい。」
と、社長に言われて
市川の横しか空いてなくて
間を開けて腰かけた。
「杉田さん、携帯は?」
と、弁護士の平田さんに言われて
あっ、と思い携帯を出すと
真っ暗で充電が切れていた。
「申し訳ありません。
充電が切れていました。」
と、頭を下げると
三人は、呆れた顔をし
市川は、泣きそうな顔をしていた。
俺は、意味がわからず
「何か急用がありましたか?」
と、社長に顔を向け訊ねると
弁護士の平田さんが
「私から」と、言われた。
平田さんから
「弁護士の葉山さんを知っていますか?」
と、問われ
心臓がかなりの音を立てる
「はい。妻の兄になります。」
と、答えると
三人は顔を見合わせて頷いた。
市川は、驚きの顔をしているのが
視界に入る。
それをあえて見えないようした。
平田弁護士から······
・弁護士の葉山さんから連絡があった事
・会って話した事
・会社にとって不安な要素があるため
社長、副社長へ連絡をした事
と、言われて内容の説明をされた。
それと共に市川との写真。
市川と俺の柚子に対して発した
言葉の録音。
市川への柚子への精神的苦痛料の請求書
と、葉山 柚子に二度と関わらない。
と言う書面がテーブルに並べられた。
副社長は、
俺をヘッドハンティングしてくれた人だ。
「杉田さん。どうしたんだよ。」
と、渋い顔をしていた。
俺は、頭を垂れるしかない。
でも、ここまでされないと
いけないのかと
自分の事を扠措いて
義兄にイライラしていた。
すると·····
社長から
「君は、何か勘違いをしていないか?」
と、言われて社長へ顔を向けると
「君の仕事に向ける姿勢や業績は
素晴らしいと思っている。
だから、専務として迎えいれた。
本当に売り上げもあがった。
専務の地位は、君へ敬意を払ったつもりだ。
だが、それは、家庭を守ってくれる
そして、君が働きやすいように
してくれた奥さんがいたからでは
ないのか?
君は、自分で家の事を全て
やっているのか?
誰の手も借りずに。」
と、言われて
「いえ。」
と、答えると
社長は、俺をじっと見て
「残念ながら、
それを履き違えている君に
今の地位は無理だと思う。
今後の体制は副社長から
話があるだろう。
君を見込んだのは彼だから。
それと市川さんには
人事課長より異動の連絡が
あります。
今後どうするかは、
ご自身で決めて
人事課長と話してください。
私からは、以上です。」
と、言われてから
「あなた方二人は、
自分達の行った行動を
理解されてないようですね。
一人の女性の人格を否定し
ましてや、それをお子さん達に
見せるとか
私には、考えられません。
我社の社員であることに対して
不愉快に思います。
だが、お二人の今までの会社への
貢献に対して配慮しています。
杉田さん。
この件は、奥様のお兄さんである
葉山弁護士が怒りで行ったと
思われているでしょう?
違いますよ。
あなたのお父さんからの依頼で
葉山弁護士は、動いただけです。
それも、葉山弁護士は、
一度 お断りをしたみたいですよ。
これは、あなたのお父さんから
私への手紙です。
お見せしますので
読まれて下さい。
読み終わりましたら
副社長でも平田弁護士でも良いから
渡しください。」
と、言われると席を立ち
社長室を出ていかれた。
残された四人だが。
まず、市川の話しになり
柚子への精神的苦痛料300万円
子供達二人への
精神的苦痛料100万円
を請求された。
平田弁護士が
「不服でしたら、ご自身で
弁護士を立てて下さい。
お支払いをされるなら
私の方へ一度送金して下さい。」
まどかは、こんな事になるなんて
思ってもいなかった。
だから、この金額が妥当な
金額なのかわからずに
一度、誰かに相談したかった。
「保留にして貰って宜しいですか?
明日ご連絡します。」
と、言うと
平田弁護士は、書類一式をコピーして
写真も含めてまどかに渡した。
それから人事課長が社長室に呼ばれた。
市川の内示は、
会社の下請け会社の倉庫係だった。
自分のしでかした事が理解出来て
いないようなのに
人と接する仕事は無理だと
言う判断らしい。
市川は、これも持ち帰り
明日ご連絡しますと
涙を拭きながら
人事課長と社長室を後にした。