優しい人の周りには。
なんだか、熱ある感じするから、本当は測りたくないんだけどな…。
でも、測らなかったらお兄ちゃん怒るだろうし、仕方ないか。
心配かけたくないのに…。
しばらくすると、無機質な体温計の音が聞こえてきた。
「何度?」
「…8度3分」
ため息をつきながら答えた。
ついこの間、寝込んだばかりなのに…。
「大丈夫。すぐ治るよ。お兄ちゃんがおかゆ作ってきてあげるね。」
「うん…、ありがとう。お兄ちゃん、もしあした、わたしが起きなくても、ちゃんと大学行ってね?」
「その時は、その時だから。美優は気にしないの。」
「うん…。わかった。ごめんね。」
「ほら、疲れただろ?少し眠りな。」
「うん…。」
お兄ちゃんは、優しすぎるよ…。