優しい人の周りには。
そんなことを考えながら、美優が震え始めたので、慌てて声をかける。
頭痛がしていると、辛いだろうから、なるべく小さな声で美優を呼ぶ。
「みゆう?」
「おにい…はあっ…ちゃんっ…はあ」
「はあはあ…はあはあ…っけほっけほ」
「美優!?しっかりしろ。わかるか?」
「けほっはあ…さむ…い…はあっ
さむい…はあはあ」
うわ言のように、寒いと言い続ける美優。
これは、急激に熱が上がったのかもしれない。
「美優、体温計入れるぞ」
反応を待たずに美優の脇に体温計を滑り込ませる。
「……っ!けほっけほけほっ」
体温計が冷たかったのか、驚いて身をよじらせ、咳き込む美優。
何度かこんな様子を見ても、俺は慣れず、震える手を握りしめる。
「美優…救急車、呼ぼうか。」
「……はあっはあっ」
もはや答えることもできずに、こくんと頷く美優に、よけいに不安にさせられる。
体温計は、39.8度と示していた。