仮面のシンデレラ



ガサ…ッ!!


「「!」」


その時。

ふと、近くの茂みから音が聞こえた。

身構える私に、チェシャは穏やかな顔で笑う。


「大丈夫だよ、アリス。きっと、シラユキ達だから。」


「え?」


(シラユキ“達”…?)


きょとん、とすると、チェシャは私を見上げて言葉を続ける。


「アリスを探して僕と一緒に森へ入ったんだ。安心して。シラユキは無事だよ。」


私は、チェシャの言葉にほっ、として茂みを見つめた。

と、次の瞬間だった。


ガサガサガサッ!!


大きく揺れた茂みを何の警戒もせず見つめた私とチェシャ。

しかし、そんな私たちの前にあられたのは、明らかに毒々しい色をした“巨大ムカデ”。


「「!!!」」


即座に凍りつき、涙も一瞬で引っ込んだ。

チチチチ…、と小さく鳴いているムカデは、ぎょろり、とこちらを見ている。


「………シラユキくん…?」


「んなわけないでしょ、アリス…!」


チェシャがそう声をあげた時

私は穏やかにムカデに話しかける。


「えっと…、はじめまして…!帰り道とか、知ってたりしますか…?」


「?!!(何言ってんのアリス…!)」


チェシャが、ばっ!と私を見た瞬間。

巨大ムカデが、私たち目がけて襲いかかった。


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