仮面のシンデレラ


「「わあぁぁぁあっ?!!!」」


ムカデの無数の足が高速で私たちをとらえた。

チェシャが、ばっ!と私を抱き抱え、間一髪のところでムカデから逃れる。


ドォン!!


私たちが根本に座っていた大木の幹に体をぶつけたムカデは、『チチチチ…!』と鳴きながら呻いている。

私は、呆気にとられながらぽつり、と呟いた。


「…この世界の生き物って、みんな喋るんじゃないの…?」


「あんな化け物に話が通じるわけないでしょっ!!」


動揺して怒るチェシャに、私は続ける。


「でも、シラユキくんは見知らぬイモムシさんと会話してたよ…?」


「あの人は、ばかなの!真似しちゃだめ!!」


すると次の瞬間。

私たちの話し声を聞きつけたムカデが、ぎゅん!とこちらを向いた。


「「!!!!!!」」


とっさに、逃げようと足を地面につける。


ズキ…!!


(痛…っ?!)


突然、激痛が走った。

視線を落とすと、足首が赤く腫れている。


(…!まさか、斜面から落ちた時に捻ったの…?)


チェシャもそれに気がついたようで、動揺して私を見つめた。

ムカデは、容赦なく大きな針のついた尻尾をこちらに振り上げる。


「「っ!」」


(やられる…!)


チェシャが、私を庇うように抱きしめた。

私が痛みを覚悟して、ぎゅっ!とチェシャを抱きしめ返した

その時だった。


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