仮面のシンデレラ
ドォン!!
「「?!!」」
突然。
目の前のムカデが、“誰かに蹴飛ばされたように”視界から消えた。
(え…っ?!)
思わず目を見開いた瞬間。
私の目に映ったのは、“紺碧の髪”の彼の後ろ姿。
…タン!
私とチェシャの前に舞い降りる彼。
すっ!と彼がこちらを振り向くと、エメラルドの綺麗な瞳と目があった。
「…ったく、毎回毎回ピンチに巻き込まれてやがって…!」
「オズ…?!!」
予想外の救世主に、体が固まる。
「オズ、風邪で寝込んでるんじゃ…」
「そーだよ…!!だけど、あんたが……!」
オズはそこまで言いかけ、「けほけほ…!」と咳をしている。
相当体調が悪いようだが、彼は額に手を当てながら私を庇うように前に立った。
(まさか、わざわざ来てくれたの…?)
彼の後ろ姿に、胸が鳴った
その時だった。
『チチチチ…!』
よろり、と体を起こすムカデ。
その目は怒りを宿したように真っ赤だ。
「…やる気か…?」
オズが、低く呟いてエメラルドの瞳を輝かせた。
ごくり、と喉が鳴り、その場に緊張が張り詰める。