仮面のシンデレラ
すっ…!
歩み寄って来たオズが、ふいに手を差し伸べた。
エメラルドの瞳が、まっすぐ私を見つめている。
「…立てるか…?」
いつもより少し優しいオズの口調に、私は素直に彼の手を取って立ち上がった。
ズキリ、と足が痛む。
「…怪我したのか?」
オズの問いに、ぎこちなく頷く。
すると、彼ははぁ、とため息をついて口を開いた。
「あんたには“危機管理能力”がないのか?ほんと危なっかしすぎる…」
「ご、ごめんなさい…」
また、オズに助けられてしまった。
頭を下げる私に、彼は小さく続ける。
「仕方ねぇな…」
(え…?)
すっ、と私に背を向け、わずかに膝を曲げる彼は「ん。」と腰をかがめた。
きょとん、としていると、オズはちらり、と私を見て言う。
「…何してんだよ。」
「えっ?」
「おぶってやるって言ってんの。」
(!!)
私は、つい頰が赤くなった。
シラユキくんとチェシャが私たちのやり取りを興味深そうに見つめる中、オズは焦れったいように口を開く。
「…恥ずかしいからさっさと乗れ。別に触ったりしねーよ。」
「そ、そういうことを気にしてるわけじゃ…!」
すると、オズが、ふっ、とこちらを向いた。
エメラルドの瞳が色濃く揺れている。
「…何。“姫抱っこ”の方がいいの?」
「“ひ”……!」