仮面のシンデレラ
**
ギィ…
月が空のてっぺんに輝く頃。
俺はウサギの家へと到着していた。
不用心にも、合鍵の在り方がポストの中という分かりやすい場所にあったため、俺はすんなりと家に入ることに成功したのだ。
(…ウサギは、いないか…。)
希望が、呆気なく崩れ去る。
家の中は真っ暗で、しぃんと静まり返っていた。
(…なんだ、チェシャもいないのか…?)
部屋中を見渡してみるが、彼の気配はない。
(…さすがに、エラの部屋に入るのはまずいよな……)
急に、緊張感が高まった。
全然悪いことをしていないのに、何故だかイケナイことをしている気分になる。
「…。」
俺はぐるぐると思考を働かせた結果、エラをソファの上に寝かせることにした。
…ドサ…
気を配りながら優しく降ろす。
エラは相変わらず無防備に寝息を立てていた。
(…っとに、コイツは…)