仮面のシンデレラ


くっ…!と、クレメインが不敵に笑った。

見下すような高圧的な視線が降り注ぐ。


「人間のあなたが、私に勝てるとでも…?」


その問いに、オズが目を細める。

絶望的に思える勝負に、私は吹っ切れたように答えた。


「当然よ…!何が何でも、オズは私が人間界に連れ帰る!」


ブワッ…!


私の声が玉座に響くと同時に、トレメインが魔力を解放した。

禍々しい気が、辺りに立ち込める。


「…いいわ。そこまで言うなら、相手をしてあげる。」


獣のように鋭いトレメインの瞳が、私を捉えた。


「今さら逃がさないわよ…!邪魔者は、魔力ごと消し去ってやる…!!」


パァァァッ!


私の体に宿るシンデレラの魔力が、トレメインの魔力に共鳴するように溢れ出した。

2つの力がぶつかると同時に、トレメインの魔力で作り出された“薔薇のツタ”が、私に向かって襲いかかる。


「アリス!!」


とっさに、オズが私の体を引き寄せた。

鋭いトゲが頬をかすめた瞬間、私は空色の瞳を輝かせる。


ブワッ!!


私の手に現れたのは、“1本の剣”。

素早く武器を受け取ったオズは、絡み付こうとするトレメインの薔薇を斬り払っていく。


ザシュッ!!


舞い散る薔薇の花びら。

むせ返るような香りが玉座を包んだ。

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