仮面のシンデレラ


全てがスローモーションに見えた。

斬り裂かれた彼のシャツ。

顔を歪め、腕を抑えたオズは「く…っ!」と小さく唸る。


ドッ…!


膝から崩れ落ちるように倒れたオズは、荒く息をしながら顔を伏せた。

冷たい声が玉座に響く。


「オズ…!この女を庇うなんて、どういうつもり…?!」


“駒”であるオズの裏切りに、怒りを露わにするトレメイン。

すると、荒い呼吸をするオズが、ぽつり、と答えた。


「“どういうつもり”?…決まってんだろ。」


視線だけ前に向けた彼は、エメラルドの瞳を光らせる。

目を見開いた瞬間、凛としたオズの声が玉座に響いた。


「俺は、例え死んであんたに死後の魂を囚われても、アリスだけは守り抜くと決めたんだ…!」


(!)


オズの言葉を聞き、怒りに歪む顔に、じわじわと“シワ”が寄っていくトレメイン。


「認めない…!そんなの、私が許さないわ!オズ、あなたは私だけ見ていればいいのよ!どうして、そんな女なんかに…!!」


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