仮面のシンデレラ


ズズズ…!


トレメインから、悪の魔力が放たれる。

憎悪に満ちた嫉妬の炎が、みるみる彼女を包み込んだ。


(…!)


その時、視界に映ったのは1つの“置き時計”。

針は、“午後11時59分”を指している。

その瞬間が、私の反撃のチャンスを示していた。


パァン!


魔力を解くと、オズが握る剣が消える。

動揺してこちらを見るオズ。


ぐいっ!


そんな彼を半ば強引に引き寄せた。

彼が目を見開いた瞬間、彼のシャツをぐん!と掴む。


「…っん!」


2人の影が重なった。

合わさった唇は、ひどく冷たい。


「な…っ!」


動揺したトレメインが声を上げる。

見せつけるようなキスを終えると同時に、私ははっきりと言い放った。


「オズのことは利用させない…!オズはもう、私のものなんだから!」

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