仮面のシンデレラ
オズが驚きで固まると同時に、我慢の限界に達したトレメインは、カッ!と薔薇色の瞳を鋭く光らせる。
「よくも…!よくも私のオズに…!!」
ブワッ!!
トレメインの魔力が、一気に解放された。
「誰がなんと言おうと、オズは一生、私のしもべよ!!」
ズワッ!!
次の瞬間。
禍々しい魔力が、オズの体を包み込んだ。
「かはっ!」
オズが小さく声を上げると同時に、トレメインの魔力がオズの体内へとながれこんでいく。
(!!)
呼吸が止まり、息をすることさえできない。
「オズ!!!」
トレメインの姿が、ぐにゃりと歪んだ。
彼女の実体が魔力に変わっていく。
闇の中で、オズのエメラルド色の瞳が光を失った。
(…!!)
ゴォォォッ!!
オズの体の中にトレメインが魔力ごと入り込み、一体化していく光景は、この世のものとは思えないほど不気味で視線が逸らさない。
パァン!
魔力の流れが止まった瞬間、闇のモヤが晴れた。
そこにいたのは、“オズ”。
しかし、その瞳は薔薇色に染まり、顔つきも私の知る彼とはまるで別人だった。
『アッハッハッハッハ…!!これでもう、オズは完全に私だけのものだわ…!』
高らかに響いた声は、石造りの壁に反響して耳に届く。
(…オズの中入り込んで、心も体も奪ったってこと…?!)
すると、ギョロリ、とオズを取り込んだトレメインが私を睨んだ。
獲物を捕らえた獣のような瞳が私を映す。
『さぁ、今度こそ“処刑”の時間よ…!この場で、私が手を下してあげるわ!!』
(!!)
…と、トレメインが薔薇色の瞳を輝かせようとした
次の瞬間だった。