仮面のシンデレラ
素早く否定すると、オズは疑うような視線を私に向け、そして言葉を続けた。
「奴は…、ウサギはいるか?」
「!ううん、今は出かけていて…」
すると、彼は「またか…」と呟いてため息をついた。
確かオズは、昨日“何度訪ねてもウサギに会えない”と、言っていた。
今日もウサギさんを訪ねてきたらしい。
「あの…ウサギさんに伝言でも?」
私が声をかけると、彼は少しの沈黙の後、「いや。」と呟いて私を見た。
そして、何か思いついたようにふと私に尋ねる。
「エラ。…あんたも、“真実を歌う笛”を探してるのか?」
(…!)
その問いに、私はこくりと頷く。
すると、オズは私を見つめたまま言い放った。
「実は、俺も長い間、笛を探して情報を集めているんだ。…もし、何か有力な手がかりが耳に入ったら、あんたに教えてやるよ。」
「えっ!いいの…?!」
願ってもみない話に、私は目を輝かせた。
しかし次の瞬間、オズは「ただし。」と続ける。
彼はそっ、と辺りを見回して、私に近づいてこっそり囁いた。
「…笛の情報を教える代わりに、あんたはウサギの情報を俺に流せ。」
(えっ…?!)