仮面のシンデレラ


素早く否定すると、オズは疑うような視線を私に向け、そして言葉を続けた。


「奴は…、ウサギはいるか?」


「!ううん、今は出かけていて…」


すると、彼は「またか…」と呟いてため息をついた。

確かオズは、昨日“何度訪ねてもウサギに会えない”と、言っていた。

今日もウサギさんを訪ねてきたらしい。


「あの…ウサギさんに伝言でも?」


私が声をかけると、彼は少しの沈黙の後、「いや。」と呟いて私を見た。

そして、何か思いついたようにふと私に尋ねる。


「エラ。…あんたも、“真実を歌う笛”を探してるのか?」


(…!)


その問いに、私はこくりと頷く。

すると、オズは私を見つめたまま言い放った。


「実は、俺も長い間、笛を探して情報を集めているんだ。…もし、何か有力な手がかりが耳に入ったら、あんたに教えてやるよ。」


「えっ!いいの…?!」


願ってもみない話に、私は目を輝かせた。

しかし次の瞬間、オズは「ただし。」と続ける。

彼はそっ、と辺りを見回して、私に近づいてこっそり囁いた。


「…笛の情報を教える代わりに、あんたはウサギの情報を俺に流せ。」


(えっ…?!)


< 55 / 250 >

この作品をシェア

pagetop