仮面のシンデレラ
と、俺がふらつく体を堪えて森を見据えた
その時だった。
「…たすけて〜……誰か〜っ…」
(!)
どこか遠くの方から聞き慣れた声が耳に届いた。
ばっ!と声のする方へ駆け出した俺は、森へ少し入った辺りに巨大な“穴”を見つける。
嫌な予感がして、そっ、と穴をのぞいた瞬間。
俺は絶望とともに眉を寄せた。
「何やってんだ、シラユキ…!」
「わぁ!オズ?!大丈夫?どうしたの、こんなとこで…」
「…こっちのセリフだ、ばか…」
なんとか彼を穴から引き上げると、ウサギがシラユキに尋ねる。
「シラユキくん、どうして穴の中に?」
「落とし穴に引っかかっちゃって…僕は気を失ってたみたいです」
頭をさする彼に、俺は素早く詰め寄った。
「あいつは…エラは一緒じゃないのか?」
「!」
すると、シラユキは、はっ!として森の奥を見る。
「そうだ…!エラちゃんは、チェシャを探しに森へ戻ったんだよ…!」
「えっ…!」
声をあげたのはチェシャだった。
シラユキは、チェシャの姿を見て目を見開く。
「あれ、チェシャ?!森を出られたの?!」
「…?」
戸惑うチェシャに、シラユキは動揺して言葉を続ける。
「実は、笛の噂が間違いだったことが分かって森を出ることにしたんだけど、チェシャを残して帰れないってエラちゃんが言ってね。僕も一緒に戻ろうとしたんだけど…」
「…まんまと落とし穴に落ちてエラとはぐれたわけか?」
俺の言葉に不安げな表情で頷くシラユキ。
「…あの子が…僕を探しに…?」
ぽつり、と呟いたチェシャの顔も青ざめている。