仮面のシンデレラ


…ポツ…


「「「「!!」」」」


ふいに、頰に冷たい雫が落ちた。

空を見上げると、真っ青に晴れていたはずの空に曇天が立ち込めている。


(…!)


嫌な予感が頭をよぎったその時。

空は急に泣き出したように、灰色の雨を降らせた。


ザァァァッ!!


「「「「わぁぁぁっ?!!」」」」


突然の雨に、急いで樹木の陰に駆け寄る俺たち。

チェシャは空を睨みながら呟く。


「雨…?今日は晴れなんじゃなかったの…?」


「うん。僕が見た天気予報では1日晴天の予報だったよ。」


そう答えたウサギは、濡れた前髪をかき上げている。


(…!こんな時に、“運の悪い”…)


そこまで考え、俺は、はっ!と隣の青年を睨んだ。


「…おい、シラユキ…!」


「!ご、ごめん?!」


と、その時。

チェシャが顔色を変えて叫んだ。


「…!煙が…!!」


(!)


チェシャの視線の先を見ると、空からの雫で、イモムシの煙が揺らぎ始めている。


ザァァァッ!!


雨は止む気配がない。


「…まずいな…。」


今まで余裕のある表情をしていたウサギの声が変わった。

速いペースで消えていく“目印”に心臓が冷える。


(…!エラ…!!)


彼女の姿が頭をよぎった瞬間。

彼女へと繋がる煙が、フッ、と空気に紛れて完全に消えたのだった。


《オズside*終》

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