イケメン御曹司は一途な溺愛王子でした~愛の重さはヘビー級?!~
車は住宅街を抜けて大きな通りに出る。
そのまま都内の繁華街方面へ向かう様だ。

「清水さんは出身は?」
「隣県ですから、頑張れば通えなくはないんです。でも通勤に二時間は初めての仕事をする上で負荷にしかならないと思って、就職を機に一人暮らしです」
「そうですか。もう慣れましたか?」
「そうですね、三年目になりますし、慣れました」

そんな会話をしつつ向かう先は、都内でも有名な観光名所のそば。
大きな提灯のぶら下がるところを少し行ったところのコインパーキングに車を停める。

「さぁ、まずはこちらに行きましょうか」

そう指し示されたのは数年前に新しくなった都内の名所の大きな電波塔。
私はまだ来たことがなかった。

「ここですか?」
「えぇ、今日はここの水族館にお連れしたくて」

車から降りて、私と彼は少しの距離を保ちつつも歩いてその水族館に向かった。

入場口で券を買うのにお財布を出そうとする。

「大丈夫ですよ。今日は僕が誘ったんですから」

そう言ってスマートに支払いを済ませて私に入場券を手渡してくれた。

中に入るとほんのり明るさのある、水族館特有の空間が広がっていた。

いろんなサイズの水槽に様々な色の魚達。
見ていて和む。
私はすっかり夢中になって見て歩く。
少しして、ハッとする。
すっかり一人で楽しんでしまっていた。
そう思い、バツの悪い思いで振り返れば、私を優しく愛おしそうに見つめる瞳とかち合う。

「ごめんなさい。すっかり一人で夢中になっちゃって…」
「いいえ、楽しんでもらうためにここに来たのですから。僕は魚を楽しそうに見ている貴方が見られて、とても嬉しいですよ」
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