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プロローグ
(すりガラスみたい)

学校で習った透けないガラスを思い出す。
多分理科の授業だったような気がするけれど、はっきり覚えていない。

すりガラス。

それが私の世界。

視界にすりガラスがあるから、世界はぼやけて見える。
キラキラ光るものも、薄暗いくもりの日も
私の目にはぼんやりしか映らない。

そして私はそれが嫌いじゃない。

毎日、毎日なだらかな平和が続いていて
それは快晴でも嵐でもない、暑くも寒くもない曇りの日みたい。

たぶんこうやって毎日が過ぎて
1年が過ぎて
10代が終わって
20代もあっという間に過ぎて
おばさんになって
気付いたらおばあちゃんになっていて

―――いつか年をとって死ぬ。

すりガラスの世界の中で。

実感はわかないけれど、きっとそう。

青い空を教室の窓から見上げて、うすぼんやりとある日の私はそう思っていた。
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