with
渋々、灰色のラグの上に腰をおろす。
「なんか、ユカちゃんの中でのオレの評価どうなっているんだか知るのコワイ」
おもむろに翔太サンが呟いた。
はて、と思う。
私の中の翔太サンの評価。
少し考えて
「チャラチャラしている」
と答えると、また「ひどいひどい」と翔太サンは泣き真似をした。
「そういえば、曲作っているんですね」
書き途中の楽譜に目を落とすと、翔太サンは「ああ」と頷いた。
「コピーも楽しいんだけど、時々物足りなくなっちゃって。こんな音あったらいいのになあってくらいだよ、まだ。」
へえ、と私は相槌を打つ。
音楽をする人ではないから、そういう気持ちはよく分からない。
ケン兄もそうなのかな。
ふと、ケン兄がCDのをくれたのが目の前にいる人だと教えてくれたのを思い出した。
ipodで何度も何度も繰り返し聴いているあの曲。
「ケン兄から借りて聴きました。外国の、ラジオなんとかって書かれていたやつ」
「レディオヘッド?」
翔太サンがおどろいた顔をして私を見た。
頷くと「どの曲好き?」と間髪入れずに聴かれる。
「2曲目」
ふと、
時が止まった。
「―――いい耳してるね、ユカちゃん」
にっこり、と翔太サンが笑った。
いつもの周りを和ませるムードメーカーみたいな笑顔とはちょっと違う。
すごく、好きな曲なんだろうな。
いつもお喋りな翔太サンは何も言わなかった。
けれど、きっとこれだけは確かだ。
どんな曲、弾くんだろ。
想像がつかない。
でも、想像しようとするとなんだか落ち着かない気持ちになった。
なぜかぎゅっと胸が締めつけられる。
「洋楽しか聴かないの?」
「いんや、洋楽以外も色々聴くよー」
「どんなの聴くの?」
「ケンイチが好きなクラシックも聴くし、ジャズやっている友だちいるからそいつに教えてもらったのとか」
「どんな―――」
ああ、おかしいな、と思った。
おかしい。
どうして私、質問ばかりしているんだろ。
翔太サンと目が合う。
首を傾げた、年上の男の人。
「ユカちゃん?」
聴きたい。
聴きたいんだ。私は、あなたの音を。
「翔太サンのギターが聴きたい」
「なんか、ユカちゃんの中でのオレの評価どうなっているんだか知るのコワイ」
おもむろに翔太サンが呟いた。
はて、と思う。
私の中の翔太サンの評価。
少し考えて
「チャラチャラしている」
と答えると、また「ひどいひどい」と翔太サンは泣き真似をした。
「そういえば、曲作っているんですね」
書き途中の楽譜に目を落とすと、翔太サンは「ああ」と頷いた。
「コピーも楽しいんだけど、時々物足りなくなっちゃって。こんな音あったらいいのになあってくらいだよ、まだ。」
へえ、と私は相槌を打つ。
音楽をする人ではないから、そういう気持ちはよく分からない。
ケン兄もそうなのかな。
ふと、ケン兄がCDのをくれたのが目の前にいる人だと教えてくれたのを思い出した。
ipodで何度も何度も繰り返し聴いているあの曲。
「ケン兄から借りて聴きました。外国の、ラジオなんとかって書かれていたやつ」
「レディオヘッド?」
翔太サンがおどろいた顔をして私を見た。
頷くと「どの曲好き?」と間髪入れずに聴かれる。
「2曲目」
ふと、
時が止まった。
「―――いい耳してるね、ユカちゃん」
にっこり、と翔太サンが笑った。
いつもの周りを和ませるムードメーカーみたいな笑顔とはちょっと違う。
すごく、好きな曲なんだろうな。
いつもお喋りな翔太サンは何も言わなかった。
けれど、きっとこれだけは確かだ。
どんな曲、弾くんだろ。
想像がつかない。
でも、想像しようとするとなんだか落ち着かない気持ちになった。
なぜかぎゅっと胸が締めつけられる。
「洋楽しか聴かないの?」
「いんや、洋楽以外も色々聴くよー」
「どんなの聴くの?」
「ケンイチが好きなクラシックも聴くし、ジャズやっている友だちいるからそいつに教えてもらったのとか」
「どんな―――」
ああ、おかしいな、と思った。
おかしい。
どうして私、質問ばかりしているんだろ。
翔太サンと目が合う。
首を傾げた、年上の男の人。
「ユカちゃん?」
聴きたい。
聴きたいんだ。私は、あなたの音を。
「翔太サンのギターが聴きたい」