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もう秋が近づいているらしい。
ガッコウでは衣替えが終わって、街中の高校生はモノトーンの学ランやブレザーを羽織っている姿が増えた。
その中でもM高生はわりと好き勝手にカーディガンやパーカーを羽織っているので目立つ。
もともときっちり制服を着こなしている生徒の方が少ない。
惰性でブレザー姿の私は、ラルフローレンのカーディガンを羽織ったエリカに連れられて街まで出ていた。
エリカは今ネイルに夢中だから、最近ドラッグストアに行くことが多い。
かわいい色を見つけては買っている。
「だぁーれだ?」
ドラッグストアをはしごしている途中の道ばたで突然視界をふさがれた。
びっくりしたものの、一息ついて冷静に
「翔太サン」
と言うと、ぱっと目の前が明るくなった。
「ユカちゃん…」
振り返るととても残念そうな顔をしている翔太サンがいた。
「なんですか」
「もう少しノってよ。さみしいよ」
そう言われても。
H高も最近衣替えが終わってケン兄は学ランを着ていた。
が、目の前の人はパーカー。
自由な人だ。
「翔太サンってバンドやっているんですか?」
エリカの質問にちょっと驚いた。
翔太サンの背中の黒いギターのシルエットを見て言ったんだろう。
でも、『バンド』。
そっか、普通はそう思うのか。
それよりもっと驚いたのは、翔太サンの言葉だった。
「うん。オレ、バンドマンだよー」
えぇ?
なんていうバンドなんですかーとさっきよりトーン高めに聞くエリカの声で「ああ、そういえばそういうの好きだったな」と思い出す。
地元のインディーズバンドとか、そういうの。
翔太サンはバンドの名前を言っていたけれど、私はあんまり聞いていなかった。
それよりも衝撃。
(バンドなんてしてたんだ)
ガッコウでは衣替えが終わって、街中の高校生はモノトーンの学ランやブレザーを羽織っている姿が増えた。
その中でもM高生はわりと好き勝手にカーディガンやパーカーを羽織っているので目立つ。
もともときっちり制服を着こなしている生徒の方が少ない。
惰性でブレザー姿の私は、ラルフローレンのカーディガンを羽織ったエリカに連れられて街まで出ていた。
エリカは今ネイルに夢中だから、最近ドラッグストアに行くことが多い。
かわいい色を見つけては買っている。
「だぁーれだ?」
ドラッグストアをはしごしている途中の道ばたで突然視界をふさがれた。
びっくりしたものの、一息ついて冷静に
「翔太サン」
と言うと、ぱっと目の前が明るくなった。
「ユカちゃん…」
振り返るととても残念そうな顔をしている翔太サンがいた。
「なんですか」
「もう少しノってよ。さみしいよ」
そう言われても。
H高も最近衣替えが終わってケン兄は学ランを着ていた。
が、目の前の人はパーカー。
自由な人だ。
「翔太サンってバンドやっているんですか?」
エリカの質問にちょっと驚いた。
翔太サンの背中の黒いギターのシルエットを見て言ったんだろう。
でも、『バンド』。
そっか、普通はそう思うのか。
それよりもっと驚いたのは、翔太サンの言葉だった。
「うん。オレ、バンドマンだよー」
えぇ?
なんていうバンドなんですかーとさっきよりトーン高めに聞くエリカの声で「ああ、そういえばそういうの好きだったな」と思い出す。
地元のインディーズバンドとか、そういうの。
翔太サンはバンドの名前を言っていたけれど、私はあんまり聞いていなかった。
それよりも衝撃。
(バンドなんてしてたんだ)