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「だから、それ護身用ね。でもしばらく、うちに来るの控えた方がいいかもしんない」

そう言って翔太サンはおもむろにギターを弾き出す。
ハヤリの歌のイントロやベートーベンの別れの曲、最近テレビで聴いたCMソングとか、なぜかみんなの歌の曲。
無茶苦茶な選曲だ。

隣でギターの音を聴きながら考える。
自分のお母さんがストーカーされているってどういう気持ちなんだろう。
それに慣れちゃうってどういうことなんだろう。

キリキリ胸が締めつけられる。

隣の平然としている横顔が本当に平気なのかそうじゃないのか、わからない。
でも―――

痛んだ金髪に手をのせる。
髪は少し伸びて、生え際が少し黒い。

さみしがりやの翔太サン。

ギターの音が止んだ。
アイスグレーの目と合う。

(みどりさんの目は茶色だったから、きっとお父さん似なんだ)

目を閉じてふとそんなことを思う。
私たちはキスをした。

ケン兄は音楽室にまだ、来ない。
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