なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
この日は毎年決まって涙を流して目が覚める。
そしていつも話ながら食べる朝食はテレビのニュースの声しか聞こえない。
家を出る前に寄るはずの和室も、今日だけは行けない。
今日だけは和室の方も見ずに家を出る。
逃げてるだけって分かってる。
でも逃げることでしかこの苦しみは緩和されない。
今日はお姉ちゃんが亡くなって3年目の命日。
そして………
「……夏生」
いつもより早く家を出たはずなのに、それに合わせて深侑が既に家の外で待っていた。
今日は深侑とは会いたくなかった。
お姉ちゃんにも深侑にも合わせる顔がないし、それに深侑はお姉ちゃんの命日だからなんて関係なしに毎年私に言うんだ。