なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
If.4 最後に言えたなら
「……ん、よし」
季節は巡って3月に入る一歩手前。
部屋の掃除をしていたらいつの間にか時計の針は3時を差していた。
慌ててクローゼットからコートを取り出して身につける。
バッグに財布を入れてテーブルにおいてあったスマホを持つと手の中で震えた。
メッセージには『今日は寒いのに外に営業で出てるよ。出掛けるときは暖かい格好して行くんだよ?』とお母さんみたいなことが書いてあった。
それをみてつい笑ってしまう。
『お母さん、了解です。』と送って家を出た。
なんて返事が来るかな。
そう思いながら目的地のファミレスに向かう。
店に入ると既に私のことを待ってる人が二人。
「ごめんね、お待たせ」
「センパイ遅いです!
……なんて、アタシ達も今さっき来たと頃なんですよね柊花センパイ?」
「そう。だから待ってないよ」
柊花は紅茶を飲んで、葵ちゃんは頬杖をついて可愛らしい笑顔を見せた。
私もドリンクをもらって柊花の隣に座った。
「葵ちゃん学校終わりで疲れてるのにごめんね?呼び出して」
「全然!夏生センパイに呼ばれるならどこへでも行きますよ!」
「ふふ、ありがと」
葵ちゃんの言葉が素直に嬉しくて照れてしまう。