なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
「…あーあ。せっかくのチャンスだったのに」
深侑がさっきまで寝ていた場所に横になって空を見上げる。
隣に座って来た人の方も見ずにただ空をみる。
「自分の想い伝えられて、背中押して後悔した?」
「するわけないじゃないですか。
清々しいくらいにスッキリしてて、自分が憎いです……よ……っ」
よく見えていた空が歪んでよく見えなくなる。
柊花センパイに優しく撫でられてさらに視界が歪む。
深侑。
あんたは知らないだろうけど、アタシに初めてお礼を言ってくれたよね。
それがアタシどれだけ嬉しかったか分からないでしょ?
アタシはもう後悔してないよ。
一途に夏生センパイを想う深侑が好きだった。
その想いをこんな形で言うことになっちゃったけど、深侑に伝えられてよかった。
だからあんたも後悔しないで、ちゃんと伝えてよ。
お願い。
深侑の想い、夏生センパイに届いて。
【side end】