なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
「…深侑……」
好きという気持ちを吐き出すようにしてそっと彼の名前を呟く。
それはすぐに風に乗って消えてしまうけど、私の好きな深侑はずっと私の心の中に居続けるだろう。
いつから彼のことが好きだったんだろう。
そんなこと覚えてないくらい私は彼が好きだった。
私の初恋は長くて苦しくて後悔しか残らない恋だった。
でもこれでいいんだ。
あの手紙があなたに届いたのならそれでいいんだ。
「……バイバイ、私の初恋」
そして私は新しい居場所で新しく始めるんだ。
これからちゃんとやっていけるかな。
私の居場所を見つけられるだろうか。
『大丈夫。夏生なら、大丈夫だよ』
お姉ちゃんならそう言ってくれるかな。