キライ、じゃないよ。
再会はホテルのエレベーターで。

mamori.1






『◯◯高校◯年度卒業生、同窓会のお知らせ』


11月の初め、肌に触れる空気が随分と冷たくなった頃、スマホの無料メールアプリに登録された、高校時代の友人から届いたその文面に、一瞬息をのんだ。

私、皐月 護(さつき まもり)は高校卒業から既に7年経過して、今ではしっかりと自立した大人の女をやっている。

看護学部のある女子大に入り、国家試験を無事合格して看護師として働き始めて3年目だ。

夢だった看護師という仕事に就き、自分で稼げるようになったことで家を出て一人暮らしを始めた。

三交代の勤務は正直不規則な生活だけど、気儘な一人暮らし自由を満喫している。

気楽に付き合える友人達と仕事の後に行く飲み会が、今の生活をさらに潤している。

潤いといえば……異性との出会いが極端に少ないことが悩みの一つだろうか?

先輩方に誘われて飲み会に参加してきた新人時代。

飲むことの楽しさには目覚めたものの、色っぽい話とはとんと無縁。

周囲の同期達が次々に◯クシィを購入していく中、祝儀貧乏を嘆きながら、それでも幸せな同期達の姿は見ていて幸せのお裾分けをしてもらっている気分になる。

『あとは、アンタだけだよ』と同期1人のブーケトスは指名でいただいたほどだ。

そんな中で届いたメールだった。



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