キライ、じゃないよ。
戻れない時間
mamori.5
◇
樫を見送って、タクシーを拾う為に道路沿いに出た。
空車が見つからなければ電話をして呼んでもいい。
そう思って左右へ目を凝らしていると、肩をポンと叩かれた。
「原川さん?田淵さんも……」
食事が終わってから出て来たのだろう、2人の姿を見て、ほんの少し戸惑った。
樫から話は聞いたけれど、田淵さんからすれば面白くない状態だと思う。
付き合ってはいないと言う樫の言葉を信じているから、そんなに申し訳なく思う必要もないのかもしれないけど。
原川さんの後ろからこちらを見る目には敵意が滲み出ている。
やっぱり、気分良くないよね。あんな風に二人で出て行ったこと。
「あらー、樫くんは?」
酔っ払っているのかと思うような、間延びした原川さんの声に、樫は仕事に行ったと伝えると、呆れたような声を上げる。
「樫くん、最低。こんな時間に女一人にしてさー。この辺り酔っ払い多いのに」
「急な仕事だもん。仕方ないよ。タクシーで帰るから大丈夫」
「タクシーで帰るくらいなら、一緒に帰ろうよ。車で送るから」
かなり酔ってるのに車の運転なんてするつもりだろうか?危ないし、乗りたくないし、運転して欲しくない。
樫を見送って、タクシーを拾う為に道路沿いに出た。
空車が見つからなければ電話をして呼んでもいい。
そう思って左右へ目を凝らしていると、肩をポンと叩かれた。
「原川さん?田淵さんも……」
食事が終わってから出て来たのだろう、2人の姿を見て、ほんの少し戸惑った。
樫から話は聞いたけれど、田淵さんからすれば面白くない状態だと思う。
付き合ってはいないと言う樫の言葉を信じているから、そんなに申し訳なく思う必要もないのかもしれないけど。
原川さんの後ろからこちらを見る目には敵意が滲み出ている。
やっぱり、気分良くないよね。あんな風に二人で出て行ったこと。
「あらー、樫くんは?」
酔っ払っているのかと思うような、間延びした原川さんの声に、樫は仕事に行ったと伝えると、呆れたような声を上げる。
「樫くん、最低。こんな時間に女一人にしてさー。この辺り酔っ払い多いのに」
「急な仕事だもん。仕方ないよ。タクシーで帰るから大丈夫」
「タクシーで帰るくらいなら、一緒に帰ろうよ。車で送るから」
かなり酔ってるのに車の運転なんてするつもりだろうか?危ないし、乗りたくないし、運転して欲しくない。