キライ、じゃないよ。
「……八田くんが送ってくれるって言うから、皐月さんも一緒に乗ったら?」


原川さんの後ろから田淵さんがそう言ったのと同時に、店から出てくる八田くんを見つけた。


「え?八田くん?」


もう帰ったのだと思ってたけど、彼女達と一緒にいたんだ。


「あれ?皐月さん、樫くんと帰ったんじゃなかったの……」

「樫くん仕事だって。皐月さんタクシーで帰るみたいだからさ、一緒に乗って行ってもいいかな?」


田淵さんが八田くんに近づき、私の代わりに説明してくれたけど、私はそれを断ってタクシーで帰ることを伝えた。


「え、そんないいよ。送るよ。田淵さん達を送るついでだもん。気にしないで」

「いいじゃん、タクシー代浮くよー」


原川さんの失礼な言葉にも、八田くんは笑顔でいる。

「でも、駐車場までは少し歩くんだ。まぁ、原川さんの酔い覚ましになるからいいか」

「ちょっと!人を酔っ払い扱いしないで欲しいわー」


3人は既に歩き始めていて、そんな状況で断ることも躊躇われて私は仕方なく3人について行った。

< 106 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop