キライ、じゃないよ。
「護は、綺麗になったよね。あの頃は可愛いって感じだったけど、さらに痩せて女っぽくなった」


一瞬過去に引き戻されて落ちていく気持ちを引き上げてくれたのは友奈だった。


「あの頃は顔も丸かったしね。働き始めて忙しさのせいかなぁ、みるみる痩せてくれてラッキーって感じ」


確かに学生時代に比べて体重は落ちた。ダイエットにお金をかける事をせずに済んでラッキーだけど、体力的には結構キツイのも事実。


「看護師だろ?仕事もハードだし、ストレスも溜まるって聞くからな。無理してないか?」

「3年になるからね、慣れだね。キツイけど平気だよ」


体を気遣ってくれる樫の言葉が嬉しくて、だけどほんの少し強がりも混ぜて答えた。


「樫くんは、今何してるの?」


友奈の問い掛けに樫くんは、さっき私に話してくれたように答えた。

すぐそばでは数人の女子がこちらを気にしているのか、チラチラと視線を感じる。

7年を経てもなおモテる男はモテる男のままらしい。

話したそうにしている彼女らの視線は、私にはチクチクと痛むもので。あまりにも正直すぎるその視線に私はその場を離れることにした。


「あ、あっちにミチ達がいるから声をかけてくるね」


2人の返事を待たずにそそくさと退散。

直後、樫の元にさっきの女子達が近づいていくのが見えた。

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