キライ、じゃないよ。
そんないい雰囲気の2人を見ていたら寂しさは倍増。

アルコールに逃げるわけじゃないけど、飲まなきゃやってらんない。


「皐月、飲み過ぎるなよ」


いちごのスパークリングワインは、アルコール度数は低め。

こんなの飲んだうちに入らない、なんて思っていたせいか、目の前には空いたワイングラスが既に片手くらい並んでいた。

それを見て声をかけてきたのは、さっきまで綺麗なお姉さん達に囲まれていた樫だった。

なによ。鼻の下伸ばして楽しそうにお話ししてたくせに……。

樫に背を向けて飲みかけのワインを一気に飲み干した。


「私、お酒強いんだよ。だから、樫は気にせず話してきなよ。ほら、彼女達まだ話したそうにしてるわよ」


話の途中で来てくれたんだろうか?

一瞬そんな風にも考えたけど、慌てて打ち消した。だって、そんな都合のいい考えは、ますます惨めになるだけだ。

樫は、私のことなんか何とも思っていないんだから。

私とだけは絶対付き合う事はないって断言されたもの。

あぁ、美味しいいちごのワインでいい気分だったのに、嫌なことを思い出して一気に急降下していくテンション。

樫のせいだ。


「樫くん、あっちで話さない?」

「皐月さん、久しぶり」


樫と私、同時に話しかけられて意識は声の主へ向かう。






< 13 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop